4才年下の彼と別れた時はたくさん泣いたけどスッキリしていました。
気持ちが落ち着いて来ると、結局思い出すのはモトオでした。
半年ほど経ったある日、連絡を取り合うようになり、またつきあうことに。
たぶん、縁があったんでしょうね。
別れている間も、最後にはこの人に戻るんじゃないか?という気持ちは心の奥底にありました。
モトオはあまり結婚願望はなく、自由に生きたい感じの様子だったので、わたしも結婚というよりも好きな人と過ごして行ければそれでいいやと思っていました。そんなスタンスでいたのが返ってよかったのか、モトオから「結婚しようか」と言ってくれました。
この後はわりとトントン拍子に話が進み、2度目の結婚生活が始まるのです。
ここから約16年間、夫婦として過ごしたわけですが、いろいろなことがありましたが振り返ると12年目くらいまではなんだかんだと上手くいっていたんじゃないかって思っています。
結婚15年目の4月。
市の定期健診で乳がんが発覚しました。
大きさから診て早期ではなく、詳しくは手術してみないとわからないとのことで、『ステージはどこまで進んでいるのか』『もしかしたら死んでしまうのか』『子供たちに寂しい思いをさせてしまう』など、不安だらけの状態で毎日を過ごしていました。
末っ子はまだ幼稚園に通っていて、親子遠足などの行事にも参加しなくてはならず、平常な気持ちを保つのがしんどかったです。
モトオにももちろん伝えましたが、なんと言うか全然心配そうに見えなかったんですよね・・。反応が薄いと言うか・・。
この時は表面上、モトオの態度に大きな変化はなかったので、職業柄(医療従事者)まぁ、そんなものなのかなと思っていました。
でも、自覚しないようにしていましたが、寂しさは感じていました。
なんか自分だけ一人ぼっちのような・・。
わたしには家族がついているのにどうしてこんな気持ちになるんだろうと思っていました。
5月に左胸全摘と同時再建手術が終わり、ステージ2aということもわかりました。
リンパにはガンが飛んでいなかったので、今後の治療方法はホルモン治療のみでした。
再発の可能性は残ってはいるものの、手術は成功して治療方針も決まり、少し安心しました。
入院中は家のことや子供たちのこともちゃんとやってくれて、モトオには感謝していました。
退院して少しずつ日常を取り戻して来るにつれ、次第にわたしはこんなんでいいのか?と思うことが多くなりました。
一人目を妊娠してからもう10年以上専業主婦。
だからといって家事が得意なわけでもない。
でも、何をしたらいいのかわからない。
特別やりたいこともない。
モトオの前では特に何の魅力もないただのおばさん。
自分自身を好きになれず、もやもやとしていました。
手術から2ヵ月後の夏休みに家族旅行に出かけていました。
毎年のように泊まりに行っていた避暑地へ。
モトオが車の中で
「すごいよね。手術から2ヵ月でこんなに元気になるんだもんね」
というようなことを言っていたんですが、なぜかその会話だけ覚えているんです。
そして、もう何年も通い続けたその避暑地を去る時になぜか
『家族でここに来るのはもう最後かも知れない』
と感じました。
その頃はモトオから具体的に何か言われていたわけでもなかったんですが、感覚的に何か感じていたのかも知れません。